Ziploc×BEAMS COUTURE / 2020
Module / 隠れた構造を可視化する
ガラスブロックのように、コンテナーを積上げる。
ダボで接合された乾式の組積造。
反復する透明とブルーのストライプ。
立面がつくる秩序や美しさから、機能性を再発見する。
立面というのは不思議なものだなと思った。テーブルの上に平置きで並べているだけでは気づかないことが、立面として立ち現われると、色々と見えてくる(身体に対して正対するということがきっと重要なんだろう)。重ねた時にコンテナー同士がずれないように施された凹凸や、蓋とケースの裏側のパターンもよく見ると可愛い。そもそも裏側にこんなグラフィックがあることに気づいている人なんているのか。異なるサイズのコンテナー同士でもスタッキングができるように、周到なモジュール設計がなされているので、横に並べていくと、当然のことながら、突起位置における通り芯のピッチも揃っている。中が空洞なので、建材としては非常に軽い。什器を構成する単位として扱う上でとても都合の良い素材だ。
しかし最も重要なのは、「半割り」コンテナーの存在だと思う。積上げていくときに、横連結をせずに上方向と横方向に同時に繋いでいきたいので、上下のユニットは半分ずらして結んでいくことになる(馬目地)。そうすると実は端部で半割りが必要になるのだが、正方形コンテナーを1単位とすると、1サイズ小さい長方形コンテナーが半割り=0.5単位として使える。そのおかげで、コーナー部分が欠けずにぴったりと納まる。
目的に合った合理性を求めて機能を突き詰めていくと、その完成度の高さゆえに、あたりまえのものとして、そこにある価値が見過ごされてしまう。ジップロックコンテナーの個性の中心が、モジュール=寸法体系というまさに目に見えない部分であることが、とても興味深い出来事だった。
(200405_mh)
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名称Ziploc×BEAMS COUTURE popup store
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用途ショップ
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所在地新宿, 東京
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設計針谷將史建築設計事務所/針谷將史 目﨑優人 野村郁人
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ディレクション神田恵介+針谷將史
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メインビジュアル
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チェック柄デザイン
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製作Candyrock+針谷將史建築設計事務所
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製作協力
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述床面積15.36㎡
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写真