OFFICE A / 2017

OFFICE A / 家具について

見慣れた素材で見慣れない断面をつくる。
模型をつくるように。

家具には、常識的ディメンションがある。経済的な合理性や、力学的な合理性に基づいて、部材寸法が決まってくるからだ。
その前提が歪んだときに、家具は機能的な役割を少し越えて、空間側へ影響を及ぼしてくる。

このプロジェクトでは、構造的な弱点になりやすい仕口(柱部材と梁部材のジョイント)を消すことで、木製でありながら、
アルミやスチールのように見える部材断面の家具をつくった。

4×8(1220×2440mm)サイズのラワンベニヤを半割りにして、ルーターを用いて「日」の字にくり貫きフレームをつくる。接合部が剛になるので、フレームとしての強度が高く、ベニヤの厚みを24ミリに抑えることができる。くり貫かれた材はそのまま棚とテーブルの天板に使用する。
(ベニヤの厚みの24ミリは、背板のジョイント部で、フレームの小口に2列、ビスで留められることが条件だったので、もっと小さくできるかもしれない)

木材の厚みをできるだけ薄く、細長いプロポーションになるように、柱にあたる部材を長方形断面にすると、空間に方向性が現われる。そうすると、列柱の強軸ラインの上にテーブルが乗るかたちになり、やや緊張感を持った状態の場が生まれてくる(この場所が自分の部屋だとちょっと窮屈な感じもするが、オフィスなのでちょうどいい)。

薄いこと、小さいことにこだわっているわけではなく、見慣れた素材で見慣れない断面をつくることを目指した。何かしらの合理性があれば太くても、過剰でも装飾的でもいいと思う。
(200319_mh)