keisukekanda SHINJUKU / 2014

Encountering / 出会いの場をつくること

ちいさな部屋に並べられたグリッド上の柱と、柱の間に浮かぶ服。
服がつくる風景は、訪れるたびにいつも違った新鮮さを与えてくれる。

keisuke kandaの服は、手仕事によりつくられた1点ものがほとんどで、それらは商品というよりも作品である。工業製品化されたファストファッションとは間逆をいく。服を機械的にラックに並べるよりも、その1点を求めてくる身体と、向き合うような関係をつくることが相応しいのではないかと思った。服と向き合うためには、重要なことを2つ、こちらで用意するべきだと思っている。1つは、思いがけない出会いをつくること。もう一つは、誰にも邪魔されない時間を与えてあげること。柱による分節と貫でつくる構造は、その両方を満たしてくれている。遠くにちらりと見えている服が気になって、迷路のような店内を彷徨うとまた別の服に出会う。柱の影に隠れながら、出会った服と対話する。それから、店内を彷徨っていると服にも出会うが人にも出会う(ぶつかる)。他のお客さんにも出会うし、ショップスタッフにも出会うし、場合によってはデザイナーとも遭遇するが、柱で囲われた路地空間では、自然と会話も弾む。

構成としては、シーズン毎に柔軟に服の配列を変えられるように、グリッドに配置された柱と貫によって、秩序を持った空間として形式化されている。このような考え方で空間をつくっていくと、場に堅さが出すぎてしまうものであるが、magmaの什器たちにが見事に中和してくれた。特に構造的にも必要な貫のジョイント部分をポップでカラフルな材で押さえてくれたのは本当に素敵だ(magmaさんありがとうございます)。構造であり、家具であり、風景の一部になってくれた。(200411_mh)

  • 名称
    ケイスケカンダ新宿
  • 用途
    ショップ
  • 所在地
    新宿, 東京
  • 設計
    針谷將史建築設計事務所/針谷將史
  • ディレクション
  • 什器デザイン
  • 述床面積
    45.05㎡
  • 撮影